イベント情報
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2025.08.14
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宝塚大学・アヘゴ希佳子准教授ご家族がJapan Cornerを訪問
8月14日(木)、宝塚大学のアドゥアヨム・アヘゴ希佳子准教授が、ご家族とともにJapan Cornerを訪問してくださいました。 アヘゴ先生は、西アフリカ日本語教育研究会の会長として、ベナン、ナイジェリア、トーゴ、ガーナ、コートジボワールを中心に、西アフリカにおける日本語教育関係者の交流や情報共有を牽引されている研究者です。 この日は、Japan Cornerの学生たちに向けて特別授業を行ってくださいました。授業では、アヘゴ先生のご家族や日本での日常生活の写真をプロジェクターで紹介しながら、「家族の一日・一週間」をテーマにしたクイズ形式の活動が行われました。 「先生は大学へどのように通っているか」「娘さんは朝誰と学校へ行くか」「お子さんたちは夕食後に何をするか」などの日本語の質問に対し、学生たちは2~3人のチームで話し合い、日本語で答えを考えながら大いに盛り上がりました。 アヘゴ先生からも、「日本語で考え、日本語で議論し、日本語の理解そのものを楽しんでいる姿から、日々の学習の積み重ねと学習意欲の高さが強く感じられた」と、大変ありがたいお言葉をいただきました。 また、トーゴ出身のご主人からは、日本企業で働く中で感じた日本文化と西アフリカ文化の違いについて、フランス語でお話しいただきました。学生からは多くの質問が寄せられ、文化交流の場としても非常に有意義な時間となりました。 終了後には、「日本の小学生の生活について初めて知り、とても興味深かった」「グループで一つの答えにまとめるのは難しかったが、クイズ形式だったのでとても楽しかった」「将来、日本で働いてみたいと思った」など、学生たちから満足度の高い感想が多く聞かれました。 コートジボワールでは、まだ日本語学習者は多くありませんが、Japan Cornerには国籍や民族の異なる学生が集っています。今後も、西アフリカ、そしてサブサハラ・アフリカと関わりのある多くの方々をお迎えし、学生たちの視野と柔軟性を広げる機会を積極的に設け、日本とアフリカ、さらにはアフリカの国々をつなぐ懸け橋となれる人材を育てていきたいと考えています。 アヘゴ先生、ご家族の皆様、このたびは本当にありがとうございました。
下記は訪問後のアヘゴ教授の報告である。 ジャパンコーナーが拓く日本語教育の未来 西アフリカ日本語教育研究会会長 宝塚大学東京メディア芸術学部准教授 アドゥアヨム・アヘゴ 希佳子 2025年8月14日、フェリックス・ウフエ=ボワニ大学内のジャパンコーナーを訪問し、日本語学習者11名を対象に初級日本語授業を行いました。授業は夕方17時30分からの1時間で、大学での勉強や仕事を終えてから駆け付けた学習者たちは、やる気に満ち溢れていました。 教室環境の様子 ジャパンコーナーの教室は、西アフリカでは大変恵まれた学習環境であるといえます。それ以前に数週間滞在していたトーゴ共和国では、教室といえば、土ぼこりが舞い、机や椅子はでこぼこで、ネズミのフンが散らばり、電気のない薄暗い部屋で、チョークにまみれた黒板を見ながら勉強する場所でした。しかし、ジャパンコーナーでは、明るく清潔な教室に電気が行き届き、快適な椅子や机が整っていました。これは日本では当たり前に思える環境ですが、西アフリカでその状態を整え、維持していくことは容易ではなく、だからこそ大きな価値があるのだと感じました。 授業の内容と学習者の様子 授業では、前学期までに学んだ文法や語彙の復習を行いました。私の家族を紹介し、日本での日常生活の写真をプロジェクターで見せながら、家族の一日や一週間の過ごし方について、クイズ形式で考えてもらいました。例えば、「私は家から大学までどうやって行くか」「娘は朝誰と一緒に小学校へ行くか」「夜ご飯の後何をするか」などです。2、3人のチームに分け、チーム対抗戦にしたのですが、チーム内で答えがなかなか1つに決まらず、熱心に話し合う姿が印象的でした。一番盛り上がったのは、「息子は土曜日の午前に何を習うか」です。空手とサッカーで答えが割れましたが、正解がサッカーだと分かった瞬間に大きな歓声が上がりました。日本語の質問に対して日本語で答えを話し合い、正解を聞いてこれだけ盛り上がれるのは、それまでの学習の積み重ねがあったからこそだと感じました。 学習者たちは、分からない語彙や文法を積極的に質問し、熱心にノートを取り、一生懸命に勉強していました。その様子から、これは一日限りの姿ではなく、日頃から積み重ねてきた努力の表れであることが伝わってきました。恵まれた環境の中で、学習意欲の高い学習者たちと日本語授業ができるジャパンコーナーは、教師としてこの上ない幸せな場であると感じました。 西アフリカにおける日本語教育の意義 私はこれまで日本、アメリカ、フランスで日本語を教えてきましたが、ジャパンコーナーの学習者たちのやる気や熱意は特別なものだと感じました。小学校からフランス語で教育を受けてきた彼らにとって、留学先といえばフランスもしくはフランス語圏というのがごく自然な選択肢です。フランス語を通して学んできた世界を、無意識に当たり前だと思っているでしょう。そんな彼らにとって、日本語を通じて新しい世界を学ぶことは、自分のアイデンティティを振り返り、世界観を根本から問い直す貴重な機会となるはずです。実際、自分の民族の言葉や文化が、フランスよりむしろ日本に近いと実感し、驚く学習者が多くいます。フランス語を通してしか世界を学ぶことができなかった彼らをエンパワメントするという意味でも、日本語教育は重要な意味を持っています。 当研究会では、同じ西アフリカのベナン共和国にある「たけし日本語学校」の卒業生に、講演をお願いしたことがあります。彼は日本語を学んだことをきっかけに、日本の大学院へ進学し、農業用ロボットの研究に取り組む機会を得ました。農業用ロボットの導入によって、母国のとうもろこし農業は劇的に効率化される可能性があります。日本語教育が彼の人生を大きく変え、同時に母国の発展にもつながる人材を育てたのです。こうした事例からも、ジャパンコーナーは学習者一人ひとりの未来を切り拓く、無限の可能性を秘めた場であると確信しています。ここで学ぶ学習者たちが、これからどのように日本語や日本と関わりながら人生を歩んでいくのか、その可能性を見守ることがとても楽しみです。 ジャパンコーナーが拓く日本語教育の可能性 ジャパンコーナーは、日本語教育とは直接関係のない建設会社である戸田建設が、戸田国際財団を通じて運営しているという点で、新しい形の教育拠点であるといえます。当研究会では、アフリカで教えたい日本語教師と、日本語を学びたい学習者はいても、教える環境がなく、サポートしてくれる組織もないということが常に課題となっていました。ジャパンコーナーは、産学官の連携によってそのような課題を乗り越えた、貴重な成功例だといえます。 今回、ジャパンコーナーで授業を行ったことで、ジャパンコーナーがなければ日本語を学べなかったであろう学習者の、生き生きとした様子、輝く瞳を見ることができました。今後も、様々な国・地域で、このような潜在的な可能性を秘めた人々に学ぶ喜びを届け、将来の選択肢を広げる場が創り出されていくことを心から願っています。 以上







